かぐやの夢
‐月と日本人・二つの「かぐや」の物語‐
（日本科学未来館・立教大学）

日本の月周回衛星「かぐや」のNHK HDTVカメラ、地形カメラなどにより撮影され た月の映像に、千年以上前から日本人が愛し続けてきた「竹取物語」の文学的な 視点を交え、最先端の科学による月の本当の姿と、時代を超えて愛し続ける日本 人の想いについてひも解いていく。日本科学未来館と立教大学というコラボレー ション、JAXA協力による世界初の本格的な４Ｋデジタルシネマ実写科学映像作品。

あずみのおとしぶみ
（押切 隆世監督、株式会社プローブ）

深々とした太古の緑に対比して、色鮮やかな着物文化の文様が清流と交差する。 生命、文明を生み出した命の水の「刻」を捉える。４Kが内包する超微粒子画像 で奥深い色の映像詩。　押切監督により４Kカメラ（RED ONE）と、映画用シネレ ンズを使用して撮影された高精細素材を、ノンリニア編集機IQの4Kリアルタイ ム編集・pabilでのカラーグレーディングでの最終仕上げ、ハリウッドスタイル の4K映像作品。

東大寺法華堂 国宝 不空羂索観音立像宝冠
（凸版印刷株式会社）

本作品は、東大寺法華堂の本尊である不空羂索観音立像が頭上にいただく冠、「宝冠」をVR技術と4K映像で再現した作品。宝冠は2万数千個に及ぶ宝玉をはじめとする数々の装飾が散りばめられた、奈良時代の工芸を代表する名品であり、その繊細さで知られているが、ほの暗い法華堂内部、高さ3.6メートルの像の頭上にあり、通常は細部まで見ることができない。本作品は、ナビゲータの案内によりVR空間の中を動きながら宝冠に接近し、様々な角度から細部まで鑑賞することができる点が特長。

塵芥集
（九州大学 大学院　芸術工学研究院　学術研究員 早川貴泰）

4Kデジタルドローイングアニメーション作品。
「高精細環境でのアニメーション表現の可能性」に ついての研究の成果物であり、「全ては、縁に導かれた塵芥のごときanimaの集積である。」がコンセプト。有機的で抽象的な動きのドローイングアニメーショ ンを無数に重ねて造形を行うという独自手法で、塵 のような小さな動きが無数に重なりあい大きな動きや形を構築していく様を表現している。

関が原の合戦
（デジタルハリウッド大学）

本作品は、人物を中心とした実写パートを全編4Kデジタルカメラ（Octavision）を用いて撮影しており、その背景は3D及び2D のCGオブジェ、デジタルアクター、マットペインティングを施した背景データ等とのCGＧ合成を用いている。撮影から上映までをフルデジタルで敢行し、最終的には5.1ch音声も交えDCI準拠のデジタルシネマ形式でDCP化まで実施した、世界初の４Ｋ VFX映像作品である。 特に、群集の合戦シーンは、デジタルハリウッド大学大学院が国内で独自に開発した群集シミュレーションツールやNTTデータが開発した「分散レンダリング」技術を用いた４Ｋ CGによる描写は圧巻である。