シンポジウム・セミナー・ステージ

ASIAGRAPH 2012 匠(たくみ)賞・創(つむぎ)賞 授賞記念シンポジウム「日本の表現は世界に通用するか?」

日時
10月25日(木)11:00~12:30
場所
日本科学未来館 みらいCANホール

コンテンツの海外展開が急務と言われていますが、日本人のアイデンティティや日本固有のドメスティックなものを表現して、果たして海外でそれらは受け入れられるのでしょうか?
細田守監督がアニメーション映画「サマーウォーズ」において描いた日本の家族や親戚のつながり、「おおかみこどもの雨と雪」で描いた日本の田舎の風景や里山の暮らしは、日本特有のものでありながら世界から理解され、それらがベースに流れる作品は海外の映画祭等で称賛されています。
隈研吾氏の「日本発」の建築は日本人の感性を世界に広め、各国で数々の賞を受賞し、海外からのオファーが後をたちません。その隈氏が手掛ける新・歌舞伎座は海外から注目を集めています。
河口洋一郎氏のCG作品は世界を魅了し、最近では、津軽塗や薩摩焼といった日本の伝統工芸とのコラボレーションに挑戦、津軽塗の立体造形作品は先ごろパリの展覧会で絶賛されました。
個性豊かな表現者であるお三方に、日本人としての固有のアイデンティティ・表現、と普遍性・国際性、というような観点で語っていただきます。

隈 研吾

建築家 

1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001年より慶應義塾大学教授。2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で日本建築学会賞受賞、同年「水/ガラス」でアメリカ建築家協会ベネディクタス賞受賞。2002年「那珂川町馬頭広重美術館」をはじめとする木の建築でフィンランドよりスピリット・オブ・ネイチャー 国際木の建築賞受賞。2010年「根津美術館」で毎日芸術賞受賞。近作に根津美術館、梼原木橋ミュージアム。著書に「つなぐ建築」(岩波新書)「場所原論」(市ヶ谷出版社)「日本人はどう住まうべきか」(日経BP社)など、多数。 

細田 守

アニメーション監督

91年東映動画(現・東映アニメーション)入社。アニメーターとして活躍後、演出家に転向。その後フリーとなり、劇場用アニメーション「時をかける少女」(’06)を発表、小規模な公開にも関わらず若い観客に支持され、ロングラン・ヒットとなった。さらに、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞の最初の受賞作品になるなど数多くの賞を受賞。自ら原作も手がけた「サマーウォーズ」(’09)を送り出し、興行収入16.5億円、観客動員126万人のスマッシュヒットを記録。前作同様、国内のアニメーション関連の映画賞を総なめにし、海外においても、10年ベルリン国際映画祭に正式招待された。11年には自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。最新作は監督・脚本・原作を務めた「おおかみこどもの雨と雪」(’12)

河口洋一郎

東京大学 大学院 情報学環 教授

CGアーティスト。東京大学大学院教授/情報学環。1952年種子島生まれ。1998年より東京大学教授。1975年からCG(コンピュータグラフィックス)に着手し、世界的CGアーティストとして活躍中。1982年国際学会SIGGRAPHに「グロースモデル」を発表し、一躍世界の注目を浴びる。国際大会でのグランプリ多数。第100回ベネチアビエンナーレ日本代表芸術家に選ばれるなど、国際的な活躍をし続けている。2000年以降に発表している作品「ジェモーション」は、反応する情感コミュニケーションがテーマのインタラクティブな作品。2010年ACM SIGGRAPHにて栄誉あるディスティングイッシュト・アーティスト・アワード受賞。