本技術は、日本の伝統芸能である「能」に、VR技術および映像技術を組み合わせた新しい芸能を構成するためのものである。舞台上に実体の鏡像を投影する「ペッパーズゴースト (Pepper's Ghost)」を応用し、またコンピュータ制御の照明によって、同一の能面・装束を着用した二人の能楽師による舞を重ね合わせて観せることで、能楽師の消失や登場を自在に制御できるようにした。また能楽師の身体を遠赤外線カメラで撮影し、その身体の動きを反映したCG映像を舞台横側に設置したスクリーンに投影することで、能楽師と映像との重ね合わせにおいて奥行きを一致させた。我々はこれまで能舞台に立体映像を投影する『3D能』を手掛けてきたが、本技術により舞台上に情報を追加するのではなく、舞台上から情報を削減する手法を確立した。