本技術は、物理的には引っ張っていないにもかかわらず、あたかも手を引かれるような感覚を作り出す力感覚提示手法に関する技術である。これまでに人間の感覚・知覚の非線形性をうまく利用することで引っ張られるような感覚を創りだせることを示し、その知覚特性や応用装置の研究を行ってきたが、装置サイズが大人手のひら程度であったために可搬性に乏しいという問題があった。今回、指の触覚はわずかな違いを検出する能力が特に高いことに注目し、新しい機構を採用することにより、従来の試作機より9割以上サイズと重量を小さくした装置の試作に成功した。さらに、小さい装置にも関わらず、牽引力の効果は従来とほぼ同等に感じられることが多くの体験者から報告された。これまで単純な振動刺激に限られていた携帯端末における触覚情報呈示を大幅に拡張する技術であり、携帯端末やウェアラブル端末におけるリッチな触覚体験を実現することが可能となると期待される。

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