演出者が細部までこだわって表現することができる物理エンジン「こだわり物理エンジン」を開発しました。
そもそも物理エンジンとは物理演算を計算機上で自動処理するためのもので、三次元CGを用いた映像コンテンツやゲームなどの製作には欠かせないものです。しかしながら、特に日本の二次元アニメ的表現の多くは三次元的な整合性のない「デフォルメ」を有するものが多く、物理的な正確性を目指す従来の物理エンジンとは相性の悪いものでした。
そこでこだわり物理エンジンでは、視点と物理演算対象の三次元的な位置関係に応じて物理演算の内容をコントロールできるようにすることで、上記のような問題の解決を図っています。ここで開発された技術は二次元アニメ的表現を三次元CG技術で再現する際に役立つことが期待されます。
例えば「アホ毛」などの二次元アニメキャラクタに特有の表現は、こだわり物理エンジンを用いることで三次元的に再現することが可能です。

審査委員講評

三次元キャラクタアニメーションにおいてアニメーションアーティストの「こだわり」を実現させることは難しいとされてきたが、その「こだわり」を簡単に実現できるようにしたことが評価できる。この技術が公開されることで、アニメーション業界のスタンダードになっていくことが期待される。