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最新3Dコンピュータグラフィクス映画「ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~」にみる演出論と制作手法をめぐる葛藤と技術的勝算

CG、アニメーション、VFX、全ての映像産業に従事することを目指す若者に、
佐藤信介監督と石川光久氏(プロダクション I.G代表取締役社長)が熱いメッセージを送る。
98分の劇場用3DCGアニメーションを、クオリティーを保ち、統一感ある内容に
仕上げることは極めて高いマネージメント能力を必要とする。
プリプロダクションワーク、制作体制、技術、演出、オペレーション等のトータルな能力の結集がない限り完成は不可能である。
一度でもCG制作の経験があれば、その困難な状況は想像できるであろう。
米国ではトイ・ストーリー以降、数々の劇場用3DCG映画が制作され続けているが、

その間、日本では米国に真っ向から勝負した純粋なCGアニメーション作品は出現しなかったと言えよう。
確かにいくつかの挑戦はあったが、それはどこかで巧みに日本独自のアニメーションのテクニックを融合し、新たなアニメーションのジャンルを模索したか、あるいは結果的に模索したかのように見えたものにとどまる。
それは、経済的理由や技術的理由が多分にあった結果でもある。
その点、この3DCGアニメーション『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』は現在の日本のCGアニメーション制作において、妥協がないのである。
全ての映像を目指すものにとって、この作品の価値を知ることは自らの挑戦の始りを知ることになる。
既に、挑戦者がこの作品の後を追っているのである。

10月25日(日)14:20~15:40 東京国際交流館 会議室1

 
石川光久 株式会社プロダクション・アイジー 代表取締役社長
1958年10月東京都生まれ。大学卒業後、竜の子プロダクションに入社。1987年、同社より独立し創業。プロデューサーとして数多くのアニメーション映画、ゲーム制作などを手がける。主なプロデュース作品として、劇場「機動警察パトレイバー2 the Movie」('93)、劇場「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」('95)、劇場「人狼 JIN-ROH」('00)、劇場「BLOOD THE LAST VAMPIRE」('00)、テレビシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」('02)、テレビシリーズ「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」('04)劇場「イノセンス」('04)、劇場「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」('08)等がある。2003年 「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(EOY JAPAN 2003)」日本代表に選出。
 
 
佐藤信介 監督/脚本家
1970年生まれ。広島県出身。武蔵野美術大学在学中の93年に脚本・監督を務めた16ミリ短編映画『寮内厳粛(りょうないげんしゅく)』がぴあフィルムフェスティバル94(PFF94)でグランプリを受賞。また、引き続き在学中に脚本・監督を務めた中編作品『月島狂奏(つきしまきょうそう)』(94)と長編作品『正門前行(せいもんまえゆき)』も高い評価を受け、全国各地で公開される。その後、市川準監督の『東京夜曲』(97)、『たどんとちくわ(「たどん」を担当)』(98)、『ざわざわ下北沢』(00)、および行定勲監督の『ひまわり』(00)、『ロックンロールミシン』(02)、の脚本を執筆。2001『LOVE SONG』で監督メジャー・デビュー。続く監督第2作目『修羅雪姫』では本格アクションを監督。2003年には北米で公開。各誌で好評を博す。
2003年『COSMICRESCUE』を監督。2005年『いぬのえいが』(オムニバス短編の一本を監督・メインストーリーの脚本<監督は犬童一心>)。脚本作として、『春の雪』(監督:行定勲)、2006年には、『県庁の星』(監督:西谷宏)。2008年映画『砂時計』(出演:松下奈緒・夏帆)を監督。2009年、プロダクションI.Gとフジテレビ共同製作・3DCGアニメ『ホッタラケの島/遥と魔法の鏡』(声:綾瀬はるか)に監督・脚本として参加。フジテレビ開局50周年記念作品として東宝系で全国公開。現在、新作長編映画『GANTZ(ガンツ)』(出演:二宮和也・松山ケンイチ)前後編2部作に監督として参加。2011年新春と春に東宝系で全国公開予定。

 
数土直志 株式会社アニメアニメジャパン 代表取締役
商社マンの父の任地だったメキシコで生まれる。大学を卒業後、大手証券会社に勤務。
2004年に株式会社アニメアニメジャパンを設立。代表取締役。ほかに「デジタルコンテンツ白書」編集委員など。